濁かん酒屋
強力に天保改革を推進した水野忠邦は一度は老中を退いたが、再び翌弘化元年(一八四四)六月に返り咲いた。しかしその年の十一月末には、早くも両国に夜鷹と呼ばれる私娼が出た。改革後初めてのことであったため市中では大評判となった。二年の八、九月ごろからは東両国広小路に三人、木挽町采女(うねめ)ケ原に三人というように方々に出没し始めた。十月には深川にも出た。このとき取締りの各関係者に贈った賄賂は、合計一○○両に達したという評判であったが、わずか三日で追い払われてしまった。しかし、天保改革で岡場所・私娼は一掃され、きびしい市中取締りが続いたあとであったから、「貴賤に限らず見物大群衆」した。これをあてこんだ夜鷹そば、茶めし、あんかけ豆腐、鮓(すし)、おでん、濁かん酒屋などが出て大繁盛となった。(「江戸 巨大都市考」 北島・南) 江戸っ子の物見高さがよくわかります。「濁かん酒屋」(にごり燗酒屋)などというものがあったのも面白いですね。
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