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2009年06月 アーカイブ

2009年06月02日

連合艦隊司令部は第1艦隊参謀秋山真之

連合艦隊司令部は第1艦隊参謀秋山真之、第2艦隊参謀佐藤鉄太郎という俊才を参謀に擁し、上層部もその意見をよく重用しつつ、組織的、有機的に、最善の判断を行うよう常に努力した。また、各艦隊司令官・各艦艦長は必要に応じて独自の判断で行動する高い能力を持ち、高速巡洋艦からなる第2艦隊には猛将といわれた上村提督が任命されるなど適材が適所に配属されていた。バルチック艦隊の旗艦の急転回に対し、東郷司令長官が判断を誤ったため、第1艦隊はバルチック艦隊を逃がしてしまう。この時、佐藤参謀がその判断が誤りであることを見抜き、第2艦隊がその高速性を生かしてバルチック艦隊を猛追撃し、戦艦相手に至近距離での砲撃戦を行い、第1艦隊の方向へバルチック艦隊を追い込み、結果的に挟み撃ちに持ち込んだことが海戦の完全勝利を確定させた[6]。

戦術 [編集]

画期的な哨戒作戦 [編集]
秋山真之参謀が立てた哨戒計画。バルチック艦隊を出来るだけはやく発見し、連合艦隊が出来るだけ有利に艦隊決戦を行うために、世界初の画期的な哨戒を行った。済州島と佐世保港を線で結び、それを一辺として正方形を描き、その正方形の中を碁盤の目のように細かく分画し、 その一つひとつに哨戒用の艦艇を配置し、水も漏らさぬ監視を行った。軍籍船舶以外にも漁船まで動員した哨戒艦船73隻で行った。

七段構えの戦法 [編集]
秋山真之参謀が立てたバルチック艦隊を全滅させるための周到な迎撃作戦計画。「天気晴朗なれども波高し」の電報で、大本営は、第一段が行われないことを理解した。実際には、第二段と第三段のみでバルチック艦隊を殲滅した。

第一段
主力決戦前夜、駆逐艦・水雷艇隊の全力で、敵主力部隊を奇襲雷撃

第二段
わが艦隊の全力をあげて、敵主力部隊を砲雷撃により決戦。丁字戦法が行われた。
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第三・四段
昼間決戦のあった夜、再び駆逐隊・水雷艇隊の全力で、敵艦隊を奇襲雷撃。高速近距離射法が行われた。

第五・六段
夜明け後、わが艦隊の主力を中心とする兵力で、徹底的に追撃し、砲雷撃により撃滅

第七段
第六段までに残った敵艦を、事前に敷設したウラジオストック港の機雷源に追い込んで撃滅

丁字戦法 [編集]
連合艦隊は秋山参謀と東郷司令官の一致した意見によって、丁字戦法を採用した。実際の進展は次のようなものだった。

敵艦隊に対して平行にすれ違う航路(反航)をとる
すれ違い直前で敵前回頭を行う
自艦隊の足の速さを頼りに敵艦隊の先頭に対して斜め後方から敵進路を遮蔽する(このため、実際には「丁」より「イ」に近い形になる)
当時の海戦の常識から見れば、敵前での回頭(しかも2分あまりを費やしての160度もの回頭)は危険な行為であった。実際、旗艦であり先頭艦であった三笠の被弾数48発の内、実に40発が大回頭時に無防備になった右舷に集中しており、帰還時の三笠は、突き刺さった砲弾の重みだけで、かなり右舷側に傾いていたという。しかし、一見冒険とも思える大回頭の2分間には、日本海軍の緻密な計算と英断が込められていた。それは次のようなようなものである。

確かに連合艦隊は2分間余り無力になるが、バルチック艦隊には照準合わせなどのため数十秒から1分程度の時間がどうしても必要であり、第1弾を打つまでに時間がかかる。
当時は照準計の精度が悪く、第1弾が艦橋や主砲などの主要部に1発で命中することはごく稀であった。
そのため、第1弾の着弾位置(水柱)から照準を修正して第2弾を正確に命中させるという手法をとることが多かった。しかしバルチック艦隊が使用していた黒色火薬は、発砲後にその猛烈な爆煙によって視界が覆われ、煙が晴れて第2弾を放つまでに時間がかかる。すなわち回頭中に第2弾は飛来しないか、慌てて撃つため命中精度が極めて低い。
バルチック艦隊は当然旗艦である三笠を集中砲撃するが、東郷としては最新鋭で最も装甲の厚い三笠に被弾を集中させ、他艦に被害が及ばないことを狙った[6]。万一三笠が大破し、自らが戦死してでも丁字の状態を完成させることを最優先とした。東郷は砲弾飛び交う中、艦橋を一歩も動かなかった。
また、前述の旅順封鎖中などの艦隊訓練により、東郷は各艦の速度、回頭の速さなどをいわゆる「クセ」を見抜いており、これが敵前大回頭を始める位置を決めるのに役立った。

常識にとらわれず、合理的に勝利を追求した結果、丁字戦法を成功させた。敵艦隊に対する十分な分析と、有効射程範囲のギリギリの所を見極めて「トーゴー・ターン」を決めた東郷の采配は、連合艦隊を勝利へと導いた。

高速近距離射法 [編集]
第五駆逐隊司令:鈴木貫太郎中佐が行った駆逐艦や魚雷艇によって、敵艦にぎりぎりまで全力で接近して行う必死の魚雷夜間攻撃法。探照灯で照らし出され、猛烈な砲火を浴びせられながら、攻撃する夜戦法で、暗闇が前提なため味方同士が衝突事故を起こす危険があり、実現するために、猛訓練を行った。その結果、戦艦「スワロフ」、「シソイウェリーキー」、「ナワリン」、装甲巡洋艦「ナヒーモフ」「モノマフ」を一夜で撃沈するなど、大戦果を挙げ、バルチック艦隊にとどめの大打撃を与えた。遠距離からの魚雷攻撃が当たり前だった当時の魚雷戦術に衝撃をもたらした新戦法。

発射速度 [編集]
連合艦隊は大口径砲の門数で劣っていたため射撃精度とともに速射も重視していた。 当時英国より輸入したコルダイト(硝酸エステル系無煙火薬)は発砲しても煙が少なく速射に有利であり、連合艦隊は発射速度においてバルチック艦隊を上回った。バルチック艦隊の主砲は新型戦艦以外発射速度が非常に遅く、遠距離砲戦で命中弾を期待するのは非常に難しかった。

2009年06月20日

リン脂質(リンししつ、Phospholipid)

リン脂質(リンししつ、Phospholipid)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称。両親媒性を持ち、脂質二重層を形成して糖脂質やコレステロールと共に細胞膜の主要な構成成分となるほか、生体内でのシグナル伝達にも関わる。

一般的なリン脂質は、 グリセリンやスフィンゴシンを中心骨格として脂肪酸とリン酸が結合し、さらにリン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつ。アルコールには通常何らかの形で窒素が含まれる。脂肪酸やアルコールには様々な種類があるため、組み合わせによってきわめて多くの種類が存在する。

リン酸は3価の酸であるため、3つのヒドロキシル基のうち2箇所が骨格ならびにアルコールとエステル結合を形成しても、残り1個所は電離してアニオンが生じる。構造中に疎水性の脂肪酸エステル部位と親水性のリン酸アニオン部位が共存するために、リン脂質は界面活性剤のような両親媒性を示し、水中では外側に親水性部を向けて疎水性部同士が集まることでベシクル状の安定な脂質二重層を形成する。

リン脂質は、大きく分けてグリセリンを骨格とするグリセロリン脂質と、スフィンゴシンを骨格とするスフィンゴリン脂質の2つが存在する。
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グリセリンのC1、C2位に脂肪酸が、C3位にリン酸がそれぞれエステル結合した分子をホスファチジン酸、ホスファチジン酸からC2位の脂肪酸が外れた分子をリゾホスファチジン酸という。C1には飽和脂肪酸が、C2位には不飽和脂肪酸が結合している場合が多い。古細菌の細胞膜では、脂肪酸がエステル結合でなくエーテル結合をしたエーテル型脂質も存在している[1]。アルコールの種類としてはコリン・エタノールアミン・イノシトール・セリン・グリセリンなどを取りうる。

スフィンゴシンはパルミチン酸とセリンから合成される物質で、グリセリンのC2位のヒドロキシ基がアミノ基で置き換わり、さらにC1位に長鎖アルキル基が結合した構造を持つ。このため、C2位は脂肪酸とアミド結合を形成する。スフィンゴリン脂質としてはスフィンゴミエリンが知られる。

生合成経路 [編集]
グリセロリン脂質では、まずアルコールがキナーゼとアデノシン三リン酸 (ATP) によってリン酸エステル化される。次にシチジン二リン酸 (CTP) と反応し、活性アルコールとなる。これが1,2-ジグリセリドと反応することによって、グリセロリン脂質が生成する。ホスファチジルセリンはホスファチジルエタノールアミンのメチル化によっても生じる。[2]。

スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)は、以前は スフィンゴシンのアミノ基がアセチルCoAによってアセチル化されてセラミドが生じ、次にヒドロキシル基がCTPによって活性化されたコリンと反応してスフィンゴミエリンが生成するものと考えられていた。しかし、現在では中間生成物としてスフィンゴシンを経由しない経路が提唱されている 。

役割 [編集]
リン脂質は自己組織化によって脂質二重層を形成し、細胞膜の主要な構成要素となる他、細胞膜内外の物質移動に用いられる小さな脂質ベシクル(リポソーム)を形成する。脂質二重層は浸透性があり、柔軟で、流体のような特性をもつため、中のリン脂質やタンパク質は面内方向に比較的自由に動くことができる。

また、リン脂質がホスホリパーゼA2などの酵素によって分解されて生じるホスファチジン酸やリゾホスファチジン酸、あるいはアラキドン酸などの各種脂肪酸は、シグナル伝達において重要な役割を担っていることが明らかにされつつある[5]。

主なリン脂質 [編集]
ホスファチジルコリン - レシチンともいう。コリン神経系でのアセチルコリン生合成経路におけるコリンの供給源となる。
ホスファチジルエタノールアミン - セファリン(ケファリン)ともいう。
ホスファチジルイノシトール - 細胞膜中の存在量は多くないが、PI3キナーゼなどの基質となり、シグナル伝達におけるセカンドメッセンジャーなどとしてはたらく。リン酸化の程度が異なる数種類が存在する。
ホスファチジルセリン - ホスファチジルエタノールアミンをメチル化した構造を持つ。
ホスファチジルグリセロール - 植物の葉などに多く含まれる。
ジホスファチジルグリセロール - カルジオリピン ともいう。
スフィンゴミエリン - 髄鞘に多く含まれる。

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